小さな旅.9-3 エーデルワイスを訪ねて

2017/06/20

頂上からの眺めは、ご多聞にもれず素晴らしかった。あの山この山と地図と照らし合わせれば、名も分かるだろうが、そんなことは、自分にとってはどうでも良かった。頬を撫でる涼しい風が心地よかった。

おにぎりが美味しかったのを覚えている。ゆっくりと時間をとり、いよいよ下りになる。岩のすき間に可憐に咲いているハヤチネウスユキソウの姿をカメラに納めながら、小田超に向かって足を進める。上りよりも下りの方が花の数は多いようだ。シャッターチャンスはいくらでもある。アルバム整理が楽しみだ。

岩場から樹林帯に入る。ところどころに一斗缶がぶらさがっている。何なんだろうこれは?  疑問に思っていたが、後で分かった。熊対策らしい。熊を見かけたら、あるいは、熊の気配を感じそうになったら、この缶をガンガンとたたき、熊から逃れるためにコースに設けているそうだ。ぶっそうなところだ。それにしても、こんなに多くの登山客が訪れるこの山にだ。

小田超からスタート地点の河原の坊までは、照り返しの下りの舗装路を約30分歩き、仙台に向けハンドルを握った。