人工工作物の無い世界はいい

2017/07/12

背中に雨具、食料、水などを入れたザックを背負い、バスのタラップを降りた。ここは会津磐梯山の西側にある雄国沼のシャトルバス到着地点の金沢峠です。7月12日午前6時20分。可憐な高山植物を見たくて、この地に降り立った。峠からは眼下に雄国沼の湿原を見下ろせた。淡く湿原全体が黄色っぽく色づいて見えた。今年は少々花が少なめだとバスの関係者は言うが、私には十分な光景であった。峠を下り原に降り立ったら、黄色いニッコウキスゲの群落が眼前に迫ってきた。すごい、すごい。木道を一回りするが、わずか10分程度で回ってしまう。しかたなく、沼の北側にある小屋を往復する。再び湿原の木道を回る。一人旅なので、そばを歩くハイカーにシャッターを押していただく。記念に、あるいは、証拠写真として自分の姿を残しておきたい。帰りのバス時間を考え、木道脇に腰をおろし、じっくりと湿原全体を見回す。それまで、感じなかった想いが浮かび上がってきた。目に映る水草やとんぼ達は、厳しい自然界の寒暖に耐え、今日がある。今、こうして私達にその姿を見せてくれている。なんの変哲もない草花類だけど、その存在が無くなったら、私達はどのように感じるんだろう。コンクリートジャングルだけの世界になったら、気が狂ってしまうかもしれない。緑よ、ありがとう。人工工作物の多い世界になったら、私はどうなるんだろう。