歩いてきました 錦秋の尾瀬ヶ原

2021/10/19
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タレントの工藤夕貴さんが尾瀬ヶ原を歩き、燧ケ岳に登頂するというテレビ番組を見ていたら、無性に行ってみたくなり、妻と供に10月10日、我が家を後にした。天気予報ではあまり芳しくなかったが、まぁ何とかなるだろうと思ってだった。雨が多い地域なのは承知のこと、状況次第でコース選択を考えることとした。

思えば尾瀬を訪れるのは何回になるのだろう。確か昭和48年が最初だったと思う。山岳道路建設に反対を唱える自然保護派のハイカー達の運動が功を奏し、建設途中だったスーパー林道の工事に「待った」をかけた初代環境庁長官・大石武一の英断を思い出したよ。いわば我が国に於ける自然保護運動の先駆けとなった地域である。

当時仙台からは国鉄が臨時夜行列車「尾瀬フラワー号」を毎週運行していて、大勢の若いハイカー達で列車は常に満杯で、床に新聞紙を敷いて何度も夜を明かした懐かしい思い出がよみがえってくるではないか。今はマイカーで気軽に行けるようになったので、尾瀬は以前ほど遠い存在ではなくなったのは、有り難い。原全体が狐色に覆われ、敷かれた木道をテクテクと歩く自分の姿を思い描きながら、一路ハンドルを操る。東西約13KMの草紅葉の世界は、さぞや壮観に違いない。

今晩の宿は時間的に考えて桧枝岐にすることにした。会津若松の観光案内所で民宿情報をいただき、宿泊の手配をするが、満室の連続で不安がよぎる。ここにもコロナの影響で、収容人数を減らしているという。6軒目でやっと確保、思わずホッと一息する。桧枝岐村はかつての平家一族が全国に散らばり、人里離れた地域に移り住んだ名残の地域の一つで、世間との交流を控え、ひっそりと暮らす一族で、彼らの存在が明らかになったのは一本の川であったという。村を流れる桧枝岐川(伊南川)の下流地域に住む住人が、上流から流れてきた食器(お椀)を発見。確かこの上流には人が住んでいないはずなのに、、、。不信に思った下流住民たちが川伝いに探索し、その存在が明らかになったというロマンある地域である。

そんな桧枝岐村もライフラインが充実し、今や尾瀬の玄関口として北側からの訪問者を受け入れているところであるようだ。

深夜、トイレ後の一服として外に出たら満点の星空に遭遇。久しぶりの星空に満足。明日、いや今日は天候に不安は無さそうである。開けて真っ青な秋空の下、御池駐車場に向かう。周りは紅葉で花盛り、当初予定どうり、快適なハイキングになりそうだ。御池からはシャトルバスに乗り換え、8:20沼山峠着。ここから約20数分は樹林帯で体調を整え、展望台からは下り、やがてニッコーキスゲの群落地・大江湿原からは木道が平坦に敷かれている。ここに来てやっと尾瀬に来たんだなと感じるところであり、私にとってここは帰りの際、尾瀬との惜別の地でもある。木道は何回歩いても「いいなぁ」。リズミカルに足音が伝わってくるからだ。浮き浮きした気持ちで沼に歩み寄る。ああぁ、ついに来たんだ尾瀬に、、、。沼周りはいつもと違って北回りにした。時計回りの逆である。最後に燧ケ岳を見ながらにすると決めてだ。

軽快に歩みを進める。やがて沼尻休憩所に着く。10数人のハイカーがひと吐息いれている。数年前に来た時は小屋が解体されていて現在再び建て直されている。お湯を沸かし、インスタントだが、味噌汁をいたたく。青空がまぶしい。気分も爽快。周りのハイカーに見晴らしの情報をもらう。一泊一万三千円だってさ。小屋じまいも始まっているという。予約なしで来たため、一瞬不安がよぎる。まぁ何とかなるさ。ここから見晴らしまでは樹林帯。全体的に下りの道のりだ。昼頃、見晴らし着。早速宿を確保。一万一千百五十円。まぁ、仕方がない。夏ならテント泊だが、今の季節だからやむを得ない。ここから至仏山方角を目指して約二時間半、きつね色に染まった尾瀬ヶ原を歩きに歩いた。きさに至福のひとときであった。遠く鹿の鳴き声を耳にしながらである。行き交うハイカーたちに声掛けしながらの歩みは最高。尾瀬に来て本当に良かった。妻もそうだという。平坦な木道歩きは実に楽。ましてや周りは広々とした空間。前方には至仏山、後方には燧ケ岳がそびえていて、何も言うことなし。木道脇にある休憩スポットでお昼タイム。湯を沸かしておにぎりをほおばる。美味。ゆっくり時間を過ごした。山ノ鼻迄は行かず、途中からヨッピ、東電側に向かうことにした。のんびり過ごしすぎちゃったみたい。暑くもなく寒くもなく快適そのものだ。心地よい風が気持ちよいではないか。東電小屋なんだけど、例の賠償で売却されていたのかと思っていたが、無事に残っていたみたい。良かったよ。行き交うハイカーの事で気が付いたんだが、年配者が多いね。皆んなここ尾瀬が好きなんだろうな。若いころせっせと足を運んだんだろうな。余裕をもって見晴らし着。周りを散策する。キャンプ場が懐かしい、昔一緒に遊んだ仲間たちは今、何をしているのだろう?

お風呂をいただいて夕食タイム。生ビール中ジョッキ800円、しかたないか。二杯でやめた。きりがない。消灯の九時まで何もすることが無い。愛読書を持参したが部屋の照明が薄暗くて目が痛くなるではないか。部屋のは入り口の戸襖は、隙間があって隣の話し声が聞こえてくる。聞きたくない。廊下を歩くとギシギシ音がする。あ~いやだ。早くあさになれ~~。

せめて星空を、、、と、期待して外に出るが、曇っていて星はみえなかった。

(続く)

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